Newbe(ニュービー)が注⽬する起業家やクリエイターをゲストに迎えたインタビューコンテンツ

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Newbe(ニュービー)が注⽬する起業家やクリエイターをゲストに迎えたインタビューコンテンツ

PROFILE銅冶勇⼈(どうや・ゆうと)
第⼀弾は、アフリカの⼥性たちの雇⽤創出を⽬的に⾃社縫製・⽣産⼯場を運営するアパレルブランドCLOUDY(クラウディ)の代表と、その収益を現地で⽣きる⼈々の⽣活向上のために還元してゆく認定NPO法⼈Doooooooo 代表理事というふたつの肩書きを持つ起業家・銅冶勇⼈さんが登場。ファッションとNPOを通じて新たなハイブリッド循環型ビジネスモデルの確⽴をめざすべく、⽇々邁進する彼のこれまでの軌跡や未来を語るコトバから、⾃信を突き動かす。

Episode.01

後半パートでは20の質問と題して、⼈⽣観からトイレ事情、⽣理についてまで普段なかなか聞くことのできない銅冶さんの哲学を紐解きます。

ストレスリリースのコツを教えてください

童⼼に帰ること。

⼈⽣で⼀番のチャレンジャーは⼦どもなんですよね。⼤⼈になればなるほどリスクを考えて⾏動してしまうの で。⾶び降りて⾻折するかもわかんないところから⾶び降りてみるのが⼦供じゃないですか。リスクを考えな い、⼈の⽬も考えない、やりたいことをやる。そんな⼦供の時の⼼を絶対的に忘れずにいることが、僕にとっ てストレスフリーな状態。⼦供っぽくしようと思っている以上は、⼤⼈の⼼になってしまっているんでしょう ね。考えずに⾃然とやる、それだけです。

2030年のご⾃⾝の未来予想図を教えてください

今のままでいいです。

どんなおじいちゃんになりたいですか?

⼀番そばにいる⼈とずっと恋愛をしていたいです。

恋愛というのは、いつの間にかお互いの尊重とかそういったものを忘れた時に少しずつ失ってゆく感情で、結 婚すると変わってしまう⼈たちもいるじゃないですか。恋愛という表現が特定的かもしれないですけど、パー トナーがいたらずっと恋愛をしていたいし、うちの会社で働く社員も含めて、常にウエッティな関係でいたい です。だから、何歳になっても相⼿をちゃんと尊重したいとか、そういうことをずっとずっと考えられる⼈間 になりたいですね。

忙しい毎⽇の中でご家族とはどのようにコミュニケーションを取っていらっしゃいます か?

週に⼀回は、両親をご飯に連れていくようにしています。

どれだけ親孝⾏をしようが、⾃分が今両親を失ったら何をやったって後悔すると思うんです。ここ5年くらいで 僕の祖⺟がアルツハイマーになったんですけど、もっともっと教えてもらえば良かったなと今になって後悔し ていることがたくさんあって。やっぱり⻑く⽣きている⽅々からいろんなことを学びたい。せっかくこういう 気持ちになれたからこそ、どうやって⾃分を育ててきてくれたかとか、何を⼤事にしてきてくれたのか、あの 時どう思っていたのかとか、親にとってのターニングポイントがどこだったのか。そういう話を聞けるのは今 しかないので。そんなコミュニケーションの取り⽅をしていると同時に⾊々教えてもらっているという感じで す。

⼦供や家族とどんな関係でいたいですか?

誰よりも時間を⼀緒に過ごす関係でいたいです。

僕の両親がいろんなものを捨ててでも、兄や僕に時間を費やしてくれたので、同じように全てをかけて⼦供と 接することのできる親でいたいなと思います。

⽣まれ変わったら何になりたいですか?

⽣きることにリミットのある⼈間に⽣まれ変わってみたいです。

セミとか余命宣告された⽅とかってすごい⽣き⽅していると思うんです。もしも、⼈間全員にリミットがあっ たなら、どんな世の中なんだろうなっていつも考えるんですけど、きっとみんなすごい⽣き⽅が変わるんじゃ ないかな。もっと過酷でもっと追い込まれてて、もっと気負いを感じながら⽣きるその先に死があるというこ とが、どんな感情なんだろうと思うと、もう少しいろんな⼈の⽴場になれる気がします。

座右の銘を教えてください

「⼈⽣は喜ばせごっこ」

やなせたかしさんの⾔葉です。彼が⾊々と⼈⽣の幸せは何かなと考えてきた時に最終的にはこれだと⾔ってい たのがこの⾔葉。戦争で弟さんを亡くされたやなせさんが、戦争に対して訴えかけたヒーローがアンパンマ ン。そういう経験をされたうえで、あのヒーローを創られて、本当に尽⼒された姿というのは誰もが喜ばせて もらったヒーローだし、それがずっとずっとできていったらすごく幸せな⼈⽣だなと。僕も喜ばせごっこをし ながら⽣きていきたいです。

あなたにとってトイレはどんな空間ですか?

⼀番落ち着く場所。

僕はトイレにいる時間がめちゃくちゃ⻑いんですよ。これは前職からで、たった⼀⼈になれる空間ってトイレ だけなんです。トイレには本当に感謝しかなくって、⼀⼈にならせてくれる場所、寝させてくれる場所だと思 っています。当時は床でどうやって寝るか、トイレの便器の後ろの窪みでどうやって寝るか、どこを枕にした ら⼀番安定感があるかをトイレに⼊った瞬間にさっと考えていました。汚いとかどうかじゃなくて、とにかく 寝るんですよ (笑)。だから本当にトイレ様には感謝しかない。家でもトイレがすごく居⼼地の良さを感じる空 間です

トイレのこだわりはありますか?

⾹りです。

僕にとっては匂いってすごく⼤事で、匂いで⼈を好きになることがあるくらい。匂い図書館を⾃分の中で持っ ているんですよ。「あ、これは4歳の時のあそこであった時のあの⼈の⾹り」とか「あそこのお店の○階の匂 いだ」とか。トイレっぽい匂いのトイレは嫌いです。⾃分にはバニラかココナッツ。かといって部屋に展開し たいものとはちょっと違って、もう少しラベンダーとかシトラス系の⾹りを欲しますね。

公共のトイレがこうだったいいなと思うことはありますか?

トイレを綺麗に使わないと外に出れない審査センサーをつけてほしい。あと、限界の時にも気持ちを紛らわす ことのできる映像を流してほしいです。

トイレに⼊った瞬間に、糞便が便器にこびりついていたりとか、すごいトイレットペーパーが床に落ちていた りとかそういうところを⾒ると「⼈間って無責任だな」とか「⾃分の家だったら絶対にやらないだろうな」と か思っちゃうんです。だから、トイレを綺麗に使わないと、ビービービー!とかブザーが鳴ったりして外に出 れない審査のセンサーをつけて欲しいです。みんなで使ってるんだっていう責任を持って欲しいんですよね。

あとは、どうしてもトイレを我慢できない時にじっとして待っているのって難しくないですか?そういう瞬間 に限界の気持ちを緩和できるような装置が欲しいですね。映像を⼀つ置いておいてもらうだけでもいいんです けど。

もしも明⽇⽣理がくるとしたら、どんな気持ちですか?

やっと⼥性の仲間⼊りができるなって感じがします。

男性なんて理解したいと思っても、絶対に⽣理のことは分からないし、苦労も分からない。だから、単純に ペニスから⾎が出るとしたらって考えます。突然ある⽇⾎が出る、5⽇から7⽇。しかもその間もお腹が痛か ったり、ストレスによる頭痛も起こる⼈がいるほどのすごく⾟い期間が、⽉⼀で来るということを事前に考え るだけでも相当なストレスですよね。同じ気持ちになれるなんて⾔ったらおこがましいんですけど、ようやく 仲間になれるっていう気持ちです。僕だったらありとあらゆる⽣理に対してのプロダクト、考えを持っている ⽅々にヒアリングをして万全の環境を整えて臨みますね。あと、みんなに「明⽇⽣理くるかもしれないから、 頼むよ」って事前に伝えておきます。「それなりのストレス抱える可能性あるからね」って (笑)。

職場・家族の間で、⽣理の情報共有をするなど、何か⼯夫していることはありますか?

制度化はしていませんが、今⽣理なのかな?って気がつけるようにいたいと思っています。

今⽣理なのかな?って考えてあげられるだけでもだいぶ違うと思うんですよね。トイレに⾏くときにバッグや ポーチ⼀つ持っていくかとか、いろんなバロメーターが⾝近なところに転がっていると思うので。気がつくこ とで⾏動を変えることができると思うんです。相⼿にもよりますが、「⽣理なの?」って聞くことがタブーな のであれば、「体調⼤丈夫?」って聞いたり、「早く帰っていいよ」って⾔ってあげられるかもしれないし。 ⼈間それだけでも嬉しいものなので。

若い頃と今で⽣理への考え⽅に変化はありますか?

⼤きく変わりました。

若い頃は僕のことじゃないし、どうでもいいと思っていました。⼥性の⽣理は⽣理現象だから、当たり前のよ うに来るんだったらそんなの別に当たり前じゃんって、毎⽉来るんでしょって思っていたと思います。でもそ こには、先ほど話したような葛藤や変化や精神的な苦痛がある。それこそガーナでは使い捨てのナプキンを使 える⼈はほとんどいない。輸⼊するしかなくて⾼いので買えないんですよね。⼈間のお⾦の使い⽅なんて⼈そ れぞれなわけで、使えない⼈だっているだろうしって考えるようになっただけでも⼤きく変わったんじゃない かな。

⽣理⽤品を買いにいったことはありますか?

旅⾏先で相⼿が具合悪くなってしまい、僕が買いに⾏ったことがあります。

買った時に思ったことは、購⼊時に茶⾊い袋に⼊れて渡されるじゃないですか。コンドーム買う時と同じよう に。余計⽬⽴ちますよね。⽣理⽤品を買うことがなぜ隠さなきゃいけないことなんだろうというのは、僕⾃⾝ はとても疑問に思っていて、同時にコンドームも買うこともどうしていけないことなんだろうか思ってしまい ます。胸はってコンドームを持っていることを男のステータスとして感じられる世の中になっていくべきだ し、⼥性も⾃分⾃⾝を守るために持っていることが当たり前のように感じられるようにならなきゃいけない。 それには⽇本⼈の意識に根付いた価値観を変えることが必要だと思うので、どうにかこのハードルをとってあ げることが⼤事なんじゃないかなって思いますね。

⽣理⽤品などのデザインなど⾒た⽬で思うことってありますか?

形やデザインで、明らかにナプキンとわかるような形で表現されているところが、購⼊のハードルを上げてい る気がします。

あとは、僕が実際に驚いたのはタンポンです。その存在を初めて知ったのは、友達の家のトイレ。うちの家で は使う⼈がいなかったので⾒てまずびっくりしました。さらに、ゴミ箱があったので開けてみたらそれが⾎ま みれで置いてあったから何事だ!って思って。注射でもしてるのかなとか思っちゃって、衝撃でしたね。そん な記憶から、タンポンについてもしっかり教育の中で教えることも⼤事なのかなって思いました。

⽣理⽤品やプロダクトがここ数年で⾮常に種類も増え進歩を遂げています。そういった 動きをどうみていますか?

マイノリティな⼥性特有のものというイメージがついているので、もっと家族ごとに。全体感として受け⼊れ られるものを作っていくことが⼤事だと思います。

新しいプロダクトってまだあまり⼀般的なドラッグストアやスーパーでは⾒かけない気がします。特別なお店 に置いてあることが好ましいという⼥性の⽅もいらっしゃるかもしれないんですけど、圧倒的に⼥性だけのこ とになってしまっている気がします。それが逆に⼤きなハードルだと思うので、もっと全体感として受け⼊れ られるものを作っていくことが⼤事なのかなって思いますね。

⽣理休暇についてどう思われますか?(実施できているか・制度はあるか)

うちの会社では実施していません。休暇を作ることも⼤事だと思いますが、僕はコミュニケーションの⽅が⼤ きいのかなという気がします。

学校での性教育について思うことはありますか?

学校教育に押し付けるのではなく、家での責務として家族として教えていくことが⼤事だと思います。

僕⾃⾝、いろんな学校に授業で⾏かせていただいて、学校教育というカテゴリが我々世代が受けていた環境 から⼤きく変わっていると感じています。⽣徒と先⽣の距離感も広がっている気がするし、先⽣が保護者と ⽣徒の間に挟まれながらものすごく⼤変な環境でやっていらっしゃると思うんです。その環境の中でやらな きゃいけないことが先⽣の中で溢れてしまっていて、性教育という部分まで先⽣に押し付けてしまうといろ んな副作⽤があるなと。だったら、学校教育の中で対処するよりも、家族の中でコミュニケーションの⼀環 としてそれをやるほうが親⼦の距離も縮まって良いのではないかと思っています。

ご⾃⾝が⼦供の頃にこういったことを教えてもらいたかったと思うようなことがあれば 教えてください

セックスや⽣理についても、何が良くて何が悪いのか、パートナーができたときに男性はどうしたら良いのか とか、相⼿の⽴場に⽴ってどのように考えたらいいのかというようなレクチャーがあれば良かったと思いま す。

例えばマスターベーション⼀つとってみても、本来隠れてこそこそするようなものじゃないと思うんですよ ね。⽗親から聞いていたらまた受け⽌め⽅も違ったかもしれない。男と男の話、⼥と⼥の話。そこって性別関 係ないかもしれないですけど、そういう隠し事⼀つあることも両親との関係性としてはすごくいいのかなとい う気もするし。セックスに関しても、⼦供たちにとって何が良くて何が悪いのかというのが⼿探りの状態だか らこそ、⾼校⽣で妊娠をしてしまったというケースがきっとあるだろうし、無知ゆえの性⾏為が深刻な問題に つながることもある。⼤⼈たちが、きちんとパートナーの⽴場に⽴って考えるということを教えるべきなんじ ゃないかなと思います。

このインタビューを終えて、新たに感じたことなどはありますか?

⾃分が親の⽴場になったときに、⼦供にはどう伝えるだろうかということを改めて考えるきっかけになりまし た。

実際に当事者になった時には、リスクも考えるだろうし、⼦供との距離感もあって必ずしも順⾵満帆にいくと も限らないと思いますが。そういった意味では、性の問題に対しての線引きはすごく難しいかもしれない。た だ、この性という問題に対しては、圧倒的に家族がやるべきことなんだなというのはすごく感じます。そのコ ミュニケーションが男⼥問わず相⼿の⽴場になって考えるということにつながることだと思うので、そこも含 めて将来⾃分の⼦供には伝えていきたいなということを改めて考えさせられました。

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Mikiko Ichitani
市⾕未希⼦(いちたに・みきこ)
1989年⽣まれ。美容専⾨学校卒業後、都内の美容室にて7年間勤務。2017年にWEBのファッションメディアの編集者へ と転向。前職の経験を活かし、美容特集の企画・編集にも携わるほか、クライアントへの提案や、制作案件の進⾏など 様々な業務を担当。2021年独⽴し、フリーランスとしてさまざまな形で編集に携わる。

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